2005/4/28
有事の逃避先としてスイスフランに注目してみる
今月に入ってから、ペイオフが全面解禁されました。そのわりにさほど大騒ぎされるようなことはありませんが、個人的にペイオフが実行される意味合いというのは一点だけだと思っています。つまり、「自己責任原則の確認」ということです。
「ペイオフであって、ペイオフじゃない」という言い方を僕はしてるのですが、預金を守るだけなら普通預金や定期預金以外に、金利がつかない決済性預金の口座を開けばいいわけですから、抜け道は存在するわけですよね。ただ、これからは誰も守ってくれないよという謳い文句を原則として、「資金の逃避先」を考えていかねばならない、そういうことですね。
そこで、今回は通貨。特に、スイス連邦の通貨、スイスフラン(CHF)に注目してみました。
スイスというと、永世中立国、プライベートバンキングなどが思い浮かびますが、他国とは質の違う「安全性」という特徴が浮かび上がってきます。実際、2001年に起きた米国の同時多発テロ以降、「有事のドル買い」ならぬ「有事のスイスフラン買い」が進んでいるという点をみても、近年スイスフランは為替市場において重要度を高めていると考えられます。
スイスフランへの投資を考える上で、押さえなければならないポイントは、ドルとの関係です。4月の相場は大きく見て、1ドル1.20スイスフランを中心とした値動きとなっています。これは、過去10年間を振り返ってもスイスフラン高の水準です。特に、前述の2001年以降は対ドルでの堅調さが目立っています。
まず、地政学的リスクに着目すると、近年「リスク回避」という点で、スイスフランがドルよりも高く評価される傾向が見受けられます。地政学的リスクが高まるとともに、「スイスフラン買い・ドル売り」という動きが強くなるのです。
また、政策金利については、米国の利上げが続いていることが、低金利なスイス(1%以下)との金利差を拡大していることに注目したいです。市場では、FRB(米連邦準備理事会)が今後も利上げを続けるとの見方が優勢です。したがって、スイスとの金利差は一段と広がることが予想されます。
長期的に見て、米国の金利が上昇すれば、現在ドルを離れている資金がそれを評価して戻り、大勢的なドル安傾向に歯止めをかける可能性もあります。「双子の赤字」を抱えているとはいえ、金利の上昇が対主要通貨でドル買いを誘発することは、直近の利上げ局面でも確認されました。
このように、ドルに資金が還流する可能性を考えれば、スイスフランのみならず、ユーロなど対ドルで上昇基調を辿っている主要通貨は一概に『今が買い場』とはいいがたいです。ドルの動向を注視して、スイスフランへの投資判断を下すことが肝要ですね。
最後に、スイスフラン独自の特徴を見てみます。スイスは日本と同様に経常収支が黒字であり、これが自国通貨高につながっています。また、化学品や精密機械などを中心とした輸出に対する依存度が高い。スイス経済全体の圧迫要因となるため、同国中央銀行のスイスフラン高を抑制する動きには注意が必要となると思います。