2005/3/30
相場のサイクルとトレンドについて考える
投資の関係の仕事をしていると、「投資のことなら何でもわかる」と錯覚してしまうことがよくあります。そして、そんな天狗の鼻をパキッと簡単に折ってくれるのは、だいたい同業の人間ではなく、普段仕事上お付き合いのあるお客様のことであることが多いです。
今回もなにげないひと言の質問から生まれたテーマです。わからなかったので、自分なりに考え、調べたりもしてみました。でも、こういう普段当たり前に使われている言葉というのは、いきなり定義を聞かれるととまどうものがありますね。
「サイクルとトレンドの違いは何か?」。これが質問です。
どちらも投資をやっている人間にとっては聞きなじみの言葉と思います。でも、あんまり区別して使っていないのが実情ではないでしょうか。
儲けるためにはトレンドに乗らなければなりません。トレンドに乗らなければ、大きく儲けることはできないのです。相場を相手にしていますと、『トレンド』という言葉を日に何度も使います。トレンドを読むことが、利益を上げるためには必要となります。そして、これまで「トレンドが読めないから相場は難しい」と嘆く投資家に何人も遭遇しましたが、これは定義としては大きな誤解だと思います。
僕は大体の投資家は『トレンドは読めている』と考えています。例えば、「あなたはバブル崩壊後の株価の動きをどのように表現しますか?」と聞かれたとき、「上昇トレンドです」と答える投資家はいないでしょう。みんなが「下落トレンド」と答えるはずです。
では、同じく「あなたは小泉政権誕生から2年間の株価の動きをどうみますか?」と期間を短くして聞いてみたらどうでしょう。それでも答えは「下落トレンド」で一致するはずです。
それでは、最後に「先週一週間の値動きをどのように表現しますか?」といった場合はどうでしょうか。質問する期間をここまで短くすると、投資家の認識は大きく違ってきます。投資家の心理状態や保有している銘柄によって、答えは様々でしょう。
この違いを、相場観の違い、トレンドに対する読みの違いとして、世間一般では扱っているようですが、これは間違った認識です。
トレンドとは、相場の大きな流れのことであり、期間を変えた程度で読みが変化してしまうような小さな動きではありません。トレンドの変化とは『歴史の変化』といっても過言でないと思います。
つまり、相場のトレンドがどっちを向いているのかは、誰が見ても一目瞭然の動きであり、この動きが変化するときには『歴史的な事件・材料』が必要になるのです。
みんなが「上だ!」、「下だ!」と読もうとしているのは『トレンド』ではなく、『サイクル』なんです。そして、『サイクルの集まりがトレンド』、と認識を変えなければなりません。
どんなトレンドも、小さな上下波動(サイクル)の集合体です。サイクルを読もうとしているのを、みんなはトレンドを読むことだと勘違いしている。これが大きな間違いなのです。
トレンドに乗るのか、サイクルを取るのか。両者の違いを次のように示します。
@【トレンドは見る、サイクルは取る】。A【トレンドは長期、サイクルは短期】。B【トレンドは形成、サイクルは描く】。C【トレンドはものさし、サイクルは鉛筆】。D【トレンドとサイクルを混同してはいけない】。
相場で利益を上げるためには、トレンドに『乗る』のか、サイクルを『取る』しかないのですが、多くの投資家は、サイクルを狙っているのに、トレンドに乗っていると勘違いしています。この勘違いは、時には大きく悲劇をもたらすことも多いです。一般的には『塩漬け』という言葉で、この悲劇を表現しているようです。
トレンドは『見る』モノであり、サイクルは『読む』モノです。トレンドは誰が見ても一致する相場の大きな流れであり、読むモノではないのです。ましてや分析とった手法も必要としません。『見れば分かるモノ』、それが『トレンド』なのです。しかし、サイクルは違います。これは『読む=予想』モノなのです。
長期的な流れがトレンドであり、サイクルは短期的、周期的に現れる波動です。そして、トレンドが形成され、サイクルは描かれ、トレンドはものさしで引くことができ、サイクルは鉛筆でなぞることで、分析することができるのです。
結論として、チャート分析とは過去の値動きを分析してサイクルの法則・真理を探ることです。トレンドをみることで、サイクルを読むことが生きていきます。みなさんも両者を区別して考え、まずは大きなトレンドを理解することで投資をすると成功率も上がってくると思います。