2005/2/13
ペイオフ解禁でいったい何が変わるのか?
いよいよ2005年4月1日よりペイオフが全面解禁されますね。いろいろと目的はあるんでしょうけど、今回はその内容のまとめとその対処について書きたいと思います。意外とペイオフについて間違った認識をしてる人もいるみたいなので、細かい部分も少し説明しておこうと思います。
まず、ペイオフとは金融機関が万一破綻した場合、これまでの全額保護とは異なり、預金保険機構が1金融機関一件当たり元本1000万円とその利息額を限度として払い戻す制度です。逆に言えば、それを超える分については「保証の限りではない」ということですね。
すでに、2002年4月1日以降、ペイオフの部分解禁は行なわれていますが、定期預金などは現在、元本1000万円、およびその利息額までが保護の対象となっています。
2005年4月1日からは当座預金、別段預金、普通預金を含め、ほとんどの預金がペイオフの対象となります。現在、主力銀行の普通預金金利は0.001%です。100万円を預けたとしても1年後の手取り利息はわずか8円に過ぎませんので、100万円を2倍にするには7万2000年もかかるわけです。
日本の流動性預金の残高は200兆円を超えていますが、「“スズメの涙”以下の利息であろうと全額保護のメリットの方が大きい」として、普通預金に流入している資金はその最大のメリットを失います。
もちろんペイオフ全面解禁とはいえ、決済性預金は引き続いて全額保護されます。ただし、無利息ですが。決済性預金は2005年4月1日以降、すべての金融機関が取り扱いを始める予定です。
ペイオフの対象商品は国内に、本店のある銀行、信用金庫などが取り扱っている普通預金、当座預金、定期預金、納税準備預金、定期積金、金銭信託、「ビッグ」、金融債、「ワイド」などです。反面、ヒット、スーパーヒット、外貨預金、保護預り専用商品ではない金融債は保護対象外となっています。
なお、農協、漁協には貯金保険機構があり、預金保険機構と同じような保護内容となっています。一方、郵便貯金は郵便貯金法に基づき、国が元利金の支払いを保証しています。
また、外国銀行は預金保険機構に未加入ですから、万一破綻しても日本国内の預金保険機構では一切保護されません。1000万円どころか、1銭も戻ってこない恐れがあります。
金融機関が破綻した場合、保護される金額は個人も法人も同じです。家族の場合、それぞれが1000万円および利息額まで保護されます。地方自治体、マンション管理組合なども「一人」であり、保護の金額は同じです。これは1金融機関についてであって、支店を分けても“名寄せ”されるため意味がありません。やはり、1000万円を超える分は銀行を分けるのが無難でしょう。
“名寄せ”とは、金融機関が破綻すると、一人一人の預金額を確定するための作業が行なわれますが、その作業のことを言います。この作業には数ヶ月、場合によっては一年以上かかるという見方もあります。その間、口座は閉鎖されるということらしいです。
銀行が合併した場合はどうなるか。例えば、三菱東京FGに1000万円、UFJHDに1000万円を預金していたとします。この両行は2005年10月1日をメドに経営統合に進みます。
このケースでは、合併後一年間に限って、1000万円×2の金額まで保護される仕組みになっています。3行合併の場合は1000万円×3となります。もっとも、前述の2行の統合行が破綻することはほぼあり得ないと思いますが・・・。
また、「うちは1000万円以下の預金しかないので何かあっても大丈夫」と思っている人、こういった人も多少注意が必要です。一つの金融機関に公共料金の自動引き落とし、給与、年金の受け取り、さらには預金まで集中していると、その金融機関が破綻したとき、“名寄せ”が終わるまで口座が封鎖され、預金が引き出せないため、生活維持が困難になる可能性もあります。
もちろん、仮払い制度はありますが、その金額は普通預金1口座につき60万円までとなっています。特に、事業資金などは引き出せないとなると、その影響は深刻なものになると思います。
ペイオフ全面解禁によって、どのような状況になるのかという点について考えたいと思うのですが、実際問題として「銀行の破綻」の可能性について言及するのは、みずほや東京三菱を国家が潰させるのかと考えたとき、よほどの地方銀行であったりとかでないとリアリティーがないと思うんですよね。
ただ、全面解禁によってこれまでの預金偏重の日本の金融構造を根底から変わっていくことになる、その点が一番重要なのではないかと思います。なにしろ、日本の場合、個人金融資産の55.9%が預貯金です。これがアメリカでは12.4%に過ぎませんから、リスクを嫌う日本人、リスクを取ろうとしない日本人ですが、今後は預金そのもののリスクが高まってきます。
これから若い世代は年金ももらえないでしょうし、それで預金のリスクが高まるという話になってくると、個人的には投資の知識をしっかりとつけていかないと、これからの時代は生きていくのが困難になっていくような気がいたしますね。