2004/12/12
相場の達人に師事することとその理由
今回のコラムは学習のコラムです。相場の勉強ということに限らず、常々思うところがあり、それを文章に残してみたいと思いました。とは言っても、たぶん目新しいことを書くということじゃなくて、当たり前の事を僕なりに噛み砕いて伝える。そういう作業だったりするのですが。
さて、僕自身、投資の業界に携わり、相場の世界に身を置いていても、普通の人と同じで「もっと相場がうまくなりたい」「もっと儲けるためのノウハウが欲しい」「知識が得たい」など、そういった願望っていうのは常にあるんです。
そういった中、仕事や趣味など、何かにうまくなろうと思ったとき、最も効果的な方法はなんなのでしょうか?僕でしたら、日本もしくは世界のトップクラスの達人のアドバイスを受けます。
達人の師事を受ける。僕はこれを投資でも学校の勉強でも趣味でも実感してきました。
例えば、学校の英語。学生時代、僕は英語が十分にできず困っていました。どうすべきか確信のないまま勉強を続けていましたが、あるとき当時は趣味程度に留めていた相場になにかヒントがないか考えてみました。
高校のときより無料の経済セミナーや投資の講演会を聞きに行ったりしていましたが、僕自身「相場に自信がもてるようになれた」と思えたのも、そういった人たちと出会い、その薫陶を受けたのが飛躍のきっかけでした。彼らの方法論や自信、取り組む姿勢に学んだところが大きいのです。
だから英語も達人に尋ねれば道が開けるかもしれない、そう思い始めました。
達人を探すのは難しくありません。日本一は目に付くからです。
僕にとっての英語の達人とは、TV英会話番組の講師などで活躍された松本道弘先生なのですが(会ったことはもちろんないですよ)、以前から外国に一度も行くことなく同時通訳にまで到達した話があり魅了されておりました。
「とにかく読むことだ。タイム誌を毎週読みなさい」。僕はそのことが書いてあったのを雑誌で見て、即これ一本に絞ることを決意しました。
早速はじめてみると、毎週一冊あたり600語の未知の単語が出てきました。読むというより辞書を引いている感じで、語彙も足りなければ、英米人の発想にも慣れていないことがすぐにわかりました。何年か続けて未知の単語が200語を下回ってきたとき、今まで受け身であったタイム誌の読書が受け身じゃなくなったんです。つまり、記事の内容を新鮮で面白いと思うようになったんですね。
それまで十分に聞き取れなかったのは未知の単語に引っかかっていたせいだと気づき、また読んだ表現がすらすら会話に出てくるようになりました。「多読」は多方面に活きる英語上達法だったんです。
ただ、これも学校の授業やラジオ番組だけだったら、いまだに「伸びない」を連発していたでしょうから、達人に師事したことへの効果だったのではないでしょうか。
今回の話で、僕が最も伝えたいのは、初歩に近い実力の者にどうして達人からのアドバイスが必要なのかということです。達人のレベルは恐ろしく高い。達人は凡人だった頃から場数を踏んで恥を掻き、試行錯誤を繰り返して今に至っています。
松本先生が上達の秘訣を「多読」に集約しているように、達人は最も大事なポイントを過不足なく凝縮している。僕らは枝葉末節が排除された果実だけを「いただく」ことができる。これに対して「合格体験記」を出すようなレベルの人は決め手がわかっていないため、言い落としがないようにあれもこれもと余分だらけです。
今上天皇は子供がとんぼ返りの悪ふざけをしていたところ、オリンピック選手を招きました。その結果、子供たちは皆宙返りができるようになったと聞きます。一人で練習していたらできるようになったでしょうか?
このアプローチの障壁になるのは、「自分のような者が名人に教えを乞うなんて」と尻込みする気持ちにあるかもしれない。僕自身、投資に関しては実際に普段より師事している方が一人いますが、その方と初めて知り合ったときに師事をお願いするときは勇気が入りました(笑)。
でも、考えてもらいたいんです。仮に鼻先であしらわれても、こちらに失うものはありません。達人の方でも真摯に学ぼうとする人のが可愛いはずです。僕はこれまで嫌な顔をされたことはありませんし、今後もひるまず師を求めたいです。達人の教えを愚直に守るのも上達の方法の一つだと思っているからです。
結局は、その教えの良し悪しの判断は自分でするしかありませんが、投資に限らず何かに行き詰まりを感じている方は、尊敬している人の言っていることをただ実践するのも良いかと思います。
「行き詰まり」というのは迷いですから、前に進む力が出ないんです。でも、何をしているかわからなくても信じてやりきろうと思えば、それは迷いながら何かするよりも必ず何かが残るはずです。
相場の勉強も同じですね。難しくても一冊の投資の本を読みきれば、何かしら残るものってあるでしょうし、読んだことが自信にもつながります。僕は達人から師事を乞うというのは、達人が培ってきたそのことに対する自信のエッセンスを分けてもらうことだと思っているんです。