2004/7/10
長期金利の上昇で住宅ローン破綻が増える?
今回、当サイトのコンテンツにあります「投資相談BBS」に住宅ローンについての質問がありましたので、先行してコラムのネタとしても使わせてもらうことにしました。
住宅ローンに関する質問は個人的にも受けることが多いのですが、将来上がるであろう、あるいは上がるかもしれないという不確定な金利というものに対してパーフェクトな対処を行うことは難しいものがあります。今回は最低限見通せる未来を前提に書いていくことにしたいと思います。
まず、国内長期金利が上昇傾向をたどり始めました。これは現実のお話です。
昨年の今頃、国内長期金利の水準は0.5%台でした。まさに未曾有の超低金利下でしたが、今は1.8%台まで上昇。こうした長期金利の動きは、個人の資産・負債面にも大きな影響を及ぼします。
まず、変動金利型の金融商品は、リターンがアップするというメリットがあります。信託銀行が扱っているビッグ、あるいは、個人向け国債などは、半年に一度の頻度で適用利率の見直しを行うため、昨今のように金利上昇局面が続けば、徐々に適用利率も上がっていきます。
ただ、同じ運用商品でも長期金利の上昇がマイナスに作用するものもあります。第一は固定金利型の債券。10年物国債などが代表的ですが、固定金利型の債券は市場金利の水準が上昇するほど、市場で売買されるのに適用される債券価格が下落傾向をたどります。つまり額面100円に対して、98円、95円というように値下がりしていくので、それをそのまま市場で売却すると、売却損を被ってしまいます。債券が元本保証商品というのは、あくまで償還まで保有した場合ですよね。
また、償還までの期間が長めの債券を組み入れて運用する投資信託の運用実績も低下します。組み入れ債券の債券価格が下落する以上、当然のことです。例えば、UFJパートナーズ投信が運用する長期公社債投信は、比較的長めの債券を債券を組み入れて運用していることもあり、このところの長期金利上昇によって、基準価額がしばしば元本を割り込むケースも散見されるようになってきました。
買った債券の債券価格が額面全額を割り込んだ、あるいは長期公社債投信の基準価額が一万円を割り込んだなど、長期金利の上昇によって損失を被っている個人もそこそこいるでしょうね。が、債券で損をするのはまだマシです。最悪、償還まで保有していれば、額面全額で戻ってきます。また長期公社債投信も、基本的に償還期限のない金融商品ですから、再び金利が低下すれば、また基準価額が一万円以上に浮上してくる可能性は十分ありますよね。
ただ、こうした金利の上昇によって一番問題になってくるのは、個人の負債面。つまり借金です。
特に深刻なのが住宅ローンです。90年代後半から昨今にかけての超低金利局面のなかで、「今なら家賃並みのローンで、夢のマイホームが手に入る」などと、持ち家を購入した人も、結構いたはずです。
では、この超低金利下で住宅ローンを購入した人たちは、一体どのようなタイプの住宅ローンを利用してきたのでしょうか。
やはり圧倒的に多いのが、3年固定金利型、あるいは5年固定金利型というように、ある一定の期間中については固定金利が適用されるが、その固定金利適用期間が経過すると、再びその時点の金利水準で乗り換えていくタイプ。このタイプの住宅ローンは、表向き「固定金利」などと謳っているものの、実態は「変動金利型の変則版」みたいなものです。3年固定金利型ということは、3年ごとに金利が見直される変動金利型と考えることもできるのです。また、変動金利型の住宅ローンを組んでいる人も少なくありません。
いずれにせよ、この手の住宅ローンは、金利水準が上昇するほど適用利率が上がっていきます。つまり、ローンを借り入れている側からすれば、借金の負担が確実に重くなっていくということです。
この金利上昇局面で、ローン負担をこれ以上重くさせないためには、住宅ローンであれば、今のうちから長期固定金利型に切り替えてしまうこと。それができない場合は、繰上げ返済などを利用して、少しでもローンの負担を軽くすることが肝心です。
投資相談でもありましたが、「他の金利商品で住宅ローンの金利分を穴埋めする」というのは、理論的には可能なのですが、個人的にはあまり賛成できないものがあります。というのも、たまに金融商品の紹介はしてると思いますが、投資信託や今ある金利モノの商品はメリットもあれば、それ独自のデメリットもあります。そういったリスクを抱えながら、うまく住宅ローンの穴埋めに使えたら、それはそれでいいのですが、「不確定なリスク」があるもので、ローンの返済をするというのは、本来あまり望ましいものではないと思っています。とくに、基本的な問題で、支払いにおける金利よりも受け取りの金利のほうが多いというのは、その金融商品自身の元本の保証の危うさを示しています。
そうなると、株や債券などの運用の方になってきますが、そうなった場合は完全にその人個人の運用成績にかかってきちゃいますよね(笑)。いずれにしろ、よくよくローンを組むときは考えたほうが良いと思います。