2004/7/4
20年周期の長期循環と波動の検証
7月に入り、連日のように暑い日が続きます。そんな中、日本経済はデフレを克服しており、企業もリストラや特別損失を一巡させ、攻めの経営に転換してきています。建設投資など長期循環の波は2003年から上昇に転じておりますが、これは日本経済が回復基調にあることを示します。今回はそこらへんの検証を少ししたいと思います。
日本経済は好調に回復しているのか、それともすでにピークアウトしてしまったのか。1〜3月期の実質経済成長率は前期比1.5%、年率換算6.1%に上方修正されました。GDP(国内総生産)統計を見る限り、日本経済は好調そのものと言っていいかもしれません。
しかし、4月の景気動向指数の一致指数(速報値)は44.4%と、1年ぶりに景気判断の目安となる50%レベルを下回りました。これは足元の景況感の悪化を示しています。
一致指数は9指標のうち、好転したのは大口電力使用量、商業販売額指数、中小企業売上高のみ。これまで一致指数を押し上げてきた生産指数など製造業関係の指標は
横ばい、悪化したものが目立っています。
街角の景況感を計る景気ウォッチャー調査では、5月の現状判断指標が52.8と前月比2.9ポイント低下しています。先行き判断指標も同0.3ポイント低下の55.0となりました。確かに景況感の改善に急ブレーキがかかっていることは間違いなさそうです。
しかし、景気動向指数の先行指数は66.7%と景気上向きを示す50%超の水準を8ヶ月連続で上回っています。内閣府は「景気改善の動きが続いている」と、従来の基調判断を変更していません。そう、景気回復のトレンドは不変です。
4〜5月に景況感が悪化したのはアメリカの利上げ懸念、中国の金融引き締め強化、原油価格の高騰などの外部要因に加え、雨の日が多く季節外れの台風襲来という特殊要因があったことによります。
企業サイドでは化学製品、鋼材などの価格急騰が懸念材料としてあがっています。ただ、原油価格は一時1バレル=42ドル台まで上昇したものの、OPEC(石油輸出国機構)の生産枠拡大を受け、現在は大きく値下がりしています。それに、日本経済は原油価格に対する抵抗力がついており、そう心配することはないと思います。
長期トレンドをみると、日本経済は着実な回復基調をたどっている、と僕は思っています。20年周期の日本の長期循環(建設投資循環)の波は戦後2回ありました(1963〜1972年、1983年〜1992年)が、2003年に再び、この波が上昇に転じたようです。それが設備投資の好調さ、地価の下げ止まりに端的に表れています。
工場立地件数は2003年に前年比24.6%増と、1988年以来、15年ぶりの高い伸びを示しました。製造業の国内回帰の動きに加え、アジア需要の爆発、デジタル家電のヒットが設備投資の盛り上がりの背景にあります。
都市部では再開発ラッシュは地価の下げ止まりにつながっています。日本不動産研究所の直近の市街地価格指数によると、3月現在の6大都市圏の平均地価は昨年9月
比プラス0.2%増と13年ぶりに上昇に転じました。東京区部は同1.1%の上昇になっています。
日本はデフレを少しずつ克服しつつある。株価と地価はかつて相関関係にありました。それが1992年8月〜、1995年7月〜、1998年10月〜の株価反騰局面では地価が下がりっぱなしでした。それはまさしく構造的な問題であり、デフレが進行していたといえます。
しかし、今は違います。株価に1年から1年半のタイムラグを持って地価が上昇に転じてきました。これは本物だと思います。
海外情勢では中国が過熱気味の景気を抑制するために、成長率を7〜8%に圧縮しているが、これでもGDPは10年で2倍になる。インドも今後10年間で、7〜8%の経済成長を続ける方針というからすごいです。
ロシアのプーチン大統領は2010年までにGDPを倍増させる計画を明らかにしています。6年で倍増するというのは年率12%成長です。インド、ロシア、中国の経済成長は地政学的には日本にとってプラスになります。
一方、企業は攻めの経営に転換しており、銀行貸し出しも徐々に増えてくるものと思われます。例えば、2004年3月期決算上場企業1510社をみると、特別損失は6兆4000億円とピークだった2001年3月期の12兆2000億円から半減しています。
ちなみに、特別損失が大きい企業は@カネボウ3571億円、A日本たばこ産業2505億円、B東京急行電鉄2266億円、C新日本石油2261億円、D富士通1875億円・・・などとなっています。こうした企業は財務的な余力が増します。
日本経済は順調な拡大局面を迎えつつあると思います。今回は数字の羅列みたいで、あまり読みやすいものではなかったかもしれませんが、あくまでも大局観の話です。株価への短期的な影響というのは計り知れませんが、基本的に投資は長期の見通しに立ってやっておけば間違いないと思います。今日は僕の母親の誕生日で52歳となりましたが、50年というのは長いですよね。日本経済の栄枯盛衰を全部見てきたんじゃないかって思ってしまいます(笑)。