2004/3/9

投資信託の税制改正による影響について考える



 さて、前回のコラムで円高を示唆しておきながら、思いっきり円安になっていて困っています(笑)。でも、為替は僕もFXでドルを買いで持っておりますので、ある意味嬉しい悲鳴と言えなくもないですね。
 そんな感じで、今は株式や為替の方にも動きはあるのですが、今回は税制のことについて取り上げてみました。投信の税制についてです。

 投資信託に関する税制が、この一月から大きく変わりました。
 大きく変わったのは、値上がり益や分配金の税率が半額になったこと。従来、国内投資信託の値上がり益や、分配金に対する税率は、一律20%の源泉分離課税でしたが、それが10%の源泉分離課税へと変更されました。ただし、この軽減税率が適用される期間は、2004年1月から2008年3月末まで。それ以降は、再び20%へと引き上げられる予定です。
 軽減税率の適用によって、リターンに対する税率が低くなるため、投資効果は確実に上がります。ただし、今回の軽減税率の適用によって、「再投資効果が上がる」という見方もありますが、残念ながらこの点については、僕は疑問が残ります。

 再投資効果とは、一度支払われた分配金でもって、同一ファンドを購入し、いわば複利的効果を狙うものですが、この再投資効果を高めるためには、とりもなおさず、運用期間が長くなければ意味がありません。しかも、今回の軽減税率適用は、わずか4年間です。これは重要な意味を持っていると思います。
 再投資効果は、ある一定期間中にリターンが実現しない限り、得ることが出来ない。値下がり損が生じているファンドでは、いかなる方法を使おうとも再投資効果を上げることは不可能です。しかも、軽減税率が適用される期間がわずか4年間では、この間1年ごとの区切りで株価が上昇し続ける確率はどんどん低くなってしまいます。
  
 また、今回の証券税制改正による大きな変更点の一つは、株式と投資信託の損益通算が可能になったことですが、これにより、株式で得た利益を、投資信託で被った損失で相殺できます。特に、ITバブルの崩壊によって、大幅に値下がりした投資信託を保有する一方、昨年の春先から大きく値上がりした株式を保有している人にとっては、この損益通算を有効に利用できるはずです。
 この損益通算が認められたことによって、投資信託の解約が相次ぐようになるのではないか?僕はそういう風に考えています。特に、ITバブルにかけて一斉を風靡した日本株ファンドの中には、基準価額が大幅に下落しているものが多く、株式との損益通算に使われるケースが増えてくると予想されます。
 実際、メガ・ファンドと称されたこれらの日本株ファンドの多くは、昨年春先から株価上昇にもかかわらず、資金流出がむしろ加速しています。今回、損益通算が認められたことによって、資金流出に歯止めがかからなくなる恐れは充分にあるのではないでしょうか?

 

「資産運用の智恵袋に」戻る