2003/11/24
自己啓発の基本戦略と専門分野を極めるということ
今回は少し投資の話からは外れる話になるのですが、よろしいでしょうか?ただ、投資戦略はその投資家の人生観に左右されるもの、と僕は思っておりますので、あながち全然関係ないとはいえないのではないかと思います。
今でこそ「就職活動」とは縁のない立場にいますが(サラリーマンですから・笑)、毎年ある時期になると、就職活動を控えた学生やら大学に入ったばかりの学生やらに就職相談を受けることがあります。僕もそのときばかりは他人の人生に関わることでもあるので、営業のときとは打って変わったマイルドでかつソフトな対応を迫られるのですが、だいたい就職相談のうちの7割は「資格取得」に関することだったりするんですよね。
うちの会社にも毎年、会社訪問でたくさんの学生が訪れます。そこでのお話です。彼はうちの会社に会社訪問できて、僕と同じ出身大学ということで、人事の人間がマンツーマンで話す機会を与えてくれたのですが、率直に言って「これから就職を有利にするために一体何をすればいいのか?」ということです。彼自身は経済学部ではあるけど、投資の業界は進むつもりがないらしく、とりあえずいろんな業界の会社を見ておきたいということでうちの会社にも来たみたいなんですけど、「何をすればいいのか?」って質問はちょっと大雑把ですよね(笑)。ただ、ざっと考えてもさまざまなスキルアップが思いつきます。さて、あなたならどう答えますか?
彼は大学の2年生。僕は今の就職活動事情をしらないのでわかりませんが、今から会社訪問するなんていうのはかなり早い方なんじゃないでしょうか?まぁうちの会社自体は人事部に連絡が行けば、それくらいのことは学生にいくらでも門戸を開放してくれる会社なので、それで実現したのかもしれませんが、相談の具体的な中身はこうです。
彼は経済学部ではありますが、元から英語が好きで、ホームステイや海外旅行なども語学の勉強の一環として行っているそうです。もちろん英検などの資格も持っているんだと思います。ただ、彼が言うには「これから就職活動をするというのには『英語ができます』と胸を張っていえるレベルじゃないんです。語学力のほかにどんな分野の力をつけたほうがいいのでしょうか?」ということなんですよね。
僕の回答は明快です(笑)。「英語の勉強をそのまま集中してやりなさい」です。
すると、彼は怪訝な顔つきをします。
「友人には会計とかコンピューターの勉強を始めている人もいます。同じ学校出身で、英語以外の資格を持つ彼らと比較されたら、僕に勝ち目はありません。」
だけど、僕の見方はまったく違うんですよね。
どんな分野であれ、技術を身につけるのには膨大な時間がかかります。情報処理や簿記等の資格試験にパスしたところで、実力がついたとは限らない。資格がないよりあったほうが付加価値はつくけど、それだけのことです。
大学生にとってわかりにくいのは、資格の有無だけではその人の評価に差がつかないという点だと思う。でも、そんなのは、これが自分が採用する側に回ると考えれば理解できます。
企業が採用したいのは、特定の分野に自身と深いやる気を持つ人間です。資格を持っていれば、基本的な専門用語を知っているということや前向きに学ぶ姿勢をアピールすることは確かにできます。だけど、熟練者からみれば、多くのヒナ鳥の中で若干早く生まれた者が先にうっすら毛が生え変わり始めた程度の違いに過ぎないんです。「資格は取ったけれど・・・」という不安をよく耳にしますが、これは自信を持つまで力をつけていないからです。
新卒の例ではありませんが、証券アナリストを引き合いに出します。試験を通ったばかりの人の知識や能力は、実際の業務で必要とする10分の1程度だと考えられます。でも、会社側からすれば欲しい人材はその3倍くらいの水準の人なんです。そこまで努力すれば本人にも自信が出てきます。証券アナリスト試験の合格はやっと基礎が終わった免状くらいにしか過ぎず、自信が生まれるのはそのはるか先のことです。
もし、彼が英語に自信を持つまでに勉強したら、それはペラペラとまでは言えないまでも現場で英語を使えるレベルだと思います。ここまで到達したという達成感は新しいことを始めるときにも自信になるはずです。余裕が生まれ、人にも優しくできるようになる。多くの人はこうした達成感も自信も余裕もないはずです。
今、就職活動に従事している大学生たちは就職準備として何かを勉強しているかもしれませんが、本当はどうするべきかわからずにせわしく暇を埋めているだけでは、結局ものにはならないんですよね。
僕はようやく相場に自信がついてきて、初めてこうしたことがなんとなくわかってきました。転職もあらゆる自己啓発も基本的に同じ戦略でいける。つまり、今一番大事だと思うことに集中するべきだということです。あれこれ手を出しても、かけた時間の割には実りが少ない。達成感が出てくるレベルとは相当な水準です。集中しなければ到達できないことは容易に察することができます。一つに絞れば、自分にはこれしかないという切迫感が深まり、目標に向けた力もみなぎってくると思うんですよね。
就職活動のノウハウを焦る前に、一芸に秀でることがどれほど厳しく、どれほど多くの人が断念しているか、またそれがどんなに価値のあることかを理解して欲しいということです。
最近、知り合いの女学生の子が宅建の資格を取ったという報告を受けてかなり嬉しかった記憶がありますが、今度は不動産鑑定士の資格を取るとか取らないとかで、試験を受けるか悩んでいたみたいです。結果的に、僕が「当然、目指すべきです」と背中を押したので、やる気になったみたいですが、似たような分野の資格なら、どんどんチャレンジすればいいと思いますよ。その勉強をしたという事実が、その人にとって受かろうが落ちようが自信につながってくると思いますし。