2003/8/31

デフレに対する現状と理解について思うこと2
 
 

 前回の続きで、今回もデフレとインフレについて少し書きます。

 個人的には「デフレですよ」「インフレですよ」という現実は、後になって初めてその変化がわかってくるものだと思っているのですが、どうでしょうか?子供の成長とかもそうだけど、毎日見てると大きくなったとか成長したとかってあまり気づかないもので、たまに遊びに来たヒトがその子をみると「まぁ大きくなったねぇ〜」って言うシチュエーションはよくあると思いますけど、なんでも過渡期ってその変化の渦中にいる人間って気づかないものなんじゃないかなって思います。
 だから、今のデフレがインフレに変わって、吉野家の牛丼が一杯1500円になったとしても、10年後と今を比べればそれはすごい物価高ですが、少しずつ逓増していったならば、その過程ではあんまり感じないんじゃないかなって思います。

 今、日本は長くデフレを経験していますけど、今のデフレの安定を支えているものの一つには、いくつかの政府の保護があると思います。
 一つはGDPに対して年率7%くらいの財政赤字を作っていること。つまり、政府は赤字を作りながら需要を提供してあげて、そして経済が安定しているということですね。
 二つ目には、ゼロ金利によって、お金の借り手が利息を払う必要がない状況を政府が誘導してくれている。あるいは、中央銀行が誘導してくれている、ということです。
 そして最後は、デフレが深刻化しないように、政府が大量の外貨介入をやって、円高を食い止めている。換言してしまえば、政府にツケを残して、デフレが痛みの大きなデフレ・スパイラルとか経済悪化に結びつかないようにしたわけです。
 したがって、今のデフレの安定状態というのは、安定はしているものの、そのツケは際限のない政府の借金の増大ということで積みあがっているわけです。これが、未来永劫続くものとは思えないので、どこかの時点で、「政府はもう返せません」ということにはなるんでしょうね。
 こうなると、間違いなく今度は、通貨の価値に非常な大きな不安が出てくる。そして、それがある局面で持続的なものかどうかはわかりませんが、瞬間的には大変なインフレになり、通貨価値が著しく損なわれる、という場面がやってくると思います。
そのようなことが、将来有り得るとして、今、何年くらい前かというと、僕はまだあと3〜4年はかかるのではないかと思います(もちろん、それまでにその兆しは出てきますが)。そのような事態になる前に、しばらくはデフレの下で安定した経済情勢が続くということが、もっとも可能性として高いシナリオじゃないかと考えています。

 では、そんな時代にどんな投資スタンスを取ったらいいのかということですが、まずこれには長期と短期の考え方があると思います。
 ここ最近、かなり国内の株式市場も派手は動きをしましたが、短期で見たら、今の日本の株式市場の活況はそうは続かないのではないかと思っています。今の相場は、アメリカの写真相場と言っていいと思うのですが、このアメリカのマーケットの活況について、金融市場はあまり本気にしていないようです。やはり、アメリカ市場は非常に矛盾したロジックを背景にしていると思います。
 一つは、デフレだから金利が下がる、だから、株が上がるということ。しかし、一方で景気がよくなるから株が買われるという、この二つの側面によって株が買われているんです。しかし、これは言ってみれば、良いトコ取りの理論であって、僕はそろそろ化けの皮がはがれてくるのではないかと思っています。したがって短期的には、日本もアメリカも株価が高値波乱から年後半は下押しを強めるだろうと思います。
 そのような場面で影響を受けるセクターは、輸出関連であり、アメリカ経済に依存の強いセクターです。これは、今までかなり上昇したグローバル・ブルー・チップとかハイテク株ですね。これらは、短期的には利食い売りのタイミングだと思います。
 しかし、その反面、グローバル経済に影響を受けにくい内需型の安定したキャッシュフローの銘柄は、むしろ底堅い動きをするのではないでしょうか。ですから、投資の中心は、そのような成長グローバルあるいは景気敏感からディフェンシブへとシフトが必要になってくるということですね。
 もう少し長期で見ると、どこかの時点でデフレ経済が終わってインフレになっていくリスクもあります。そのような様相が見えたときには、スタンスをディフェンシブなものから、もっとインフレに抵抗力のあるセクターにシフトする必要がある。そして、ある時点から急速な円安になるということが想定されると今度は、輸出関連株にウエイトをおく、という転換が必要だと思います。そのような転換が必要な時機は、個人的には1〜2年先の話ではないかと思っています。

 最後に、インフレ・ヘッジの金融商品として、ここ数年「金」が注目されていますけど、それに関してはどうなのかということについて、一つだけ書いておきます(いつか、ここのコラムでこのテーマは書くと思います)。理屈から言えば、一番「有望」だと思いますよ。僕個人もそれなりの量を保有していますし、長期という視点に立てば、今は多少なりとも持っていたほうが良いと思います。
 ただ、「投資」という観点から考えると、金で株みたいに何倍ものボラティリティーを計算できるわけではないので、完全に「資産保全」の域から出ないのではないかと思っています。ただ、株のバブルみたいに、一回この2010年までに大急騰するとは思っていますが。預貯金に預けるくらいなら金を買ったほうが良いと思います(笑)。あくまで個人的な見解ですが。

 

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