2002/10/31
日本の個人投資家が育たない理由お金を残す方法には昔から3つの方法しかないって言われます。まず、一つは「稼ぐこと」。これは当然、汗水たらして働いてお金を稼ぐこと。もう一つが「節約すること」。貯めたお金を使わないで残すことです。そして、最後の三つめが「儲けること」。つまり、お金を増やすことです。どれを使ってもお金は残せるけど、一番最後の「儲ける」ということに関して、今まで一番苦手だったのが日本人でした(もちろん今も)。「儲ける=投資」ということを、悪く捉える人が多かったからかもしれません。しかし、今の低金利時代になり、デフレ不況、株安、金融不安、リストラなど、大きな「負」の流れの中で、「お金でお金を増やす」ということに、20代や30代の若い世代の方が「投資」に再度スポットライトを浴びせはじめました。これは、やはり将来に不安を覚えた若い世代の人達が今のうちに投資でお金を増やしていこうと考えてきたことにあるんでしょうけど、自分も含めこういった世代の人たちが、これからは金融業界を動かしていくことになるのではないでしょうか。そこで、今回のコラムのテーマは「個人投資家」にしたわけですが、よく日本では個人投資家が弱いから外国や企業から喰いモノにされる、と言います。だから、個人投資家が育たないわけなんですけど、事実、日本では預貯金に占める投資の割合というのが、著しくアメリカとか諸外国に比べ少なかったりします。これもバブル崩壊後、リスクというものを理解できていない投資家が投資を「一攫千金を狙う怠け者のやること」と位置づけてしまったためです。例えば、靴や洋服を買うとき通販やインターネットで買ったりしますか?今はネットのオークションなどもあるので、昔ほどこの例は通用しなくなっているかもしれませんが、せめて自分の身につけるモノくらいは実際にお店に行き、実物を見て、そして試着をし、そこで初めて購入しようかどうか考えるかと思います。そこには少しでも自分の似合うモノ、少しでも物の割に安いモノが欲しい、そういった購買意欲が働くからだと思いますが、これが投資となると好い加減だったりするのが実情です。実際の会社も見ずに、「株価が安い」「証券会社に勧められた」「雑誌に推薦されている」などを理由に、電話一本あるいはパソコンのボタン一つで100万単位の買い物が行われています。株をやったことのない未成年の人たちが、話だけ聞いたら信じられないかと思いますが、それが実際の証券業界では当たり前のように日常で起こっているのです。さて、投資の世界には当然『光と闇』があります。要するに「儲かった人」と「損をした人」です。当然儲かった人は嬉しいわけですからそれで苦情が出る人はいませんが、それが損をした人となるとそうはいきません。「○○に絶対儲かるからと勧められたら損をした」こんな話は枚挙にいとまがありません。しかし、投資とは初めからリスクがあるとわかってやることなわけですから、もっと今の個人投資家の人たちは投資について真剣に考える必要があると思います。アメリカでは個人投資家の資産の半分以上は株などの積極的な投資に運用されています。そして、自分の信じた独自のポートフォリオによって、リスクを理解し投資を行っております。アメリカに比べ日本の個人投資家が育たないのは、誰も『投資とはリスクがあるもの』と教えないからです。だから、儲け話のうまい話だけを聞いてすぐに飛びついて損をする。そして損をして自分の中で留めておくだけなら良いのですが、それを人に吹聴して自分が損をしたのを勧めた人間のせいにする。この繰り返しが結局は日本の個人投資家をダメにしている原因なのです。よく相場の世界では野菜とかお米とか穀物の価格を例にいうのですが、私たちが八百屋で物を買うとき、買い手の我々はその野菜が美味しいのか不味いのか、あるいは今年は豊作だったのか不作だったのか、買うならばどれがいいのか、そういったことがわからないため、お店の人に聞いたりして情報を集めると思います。そして、時に手に取って野菜が腐ってないかみたり、あるいは試食させてもらったり、そこで初めて自分の眼で、それを買っても良いのか、判断し購入を決める。つまり、これが「リスクを取る」ということなんです。何度も繰り返していけば、その中にはもちろん成功もあれば失敗もあります。必ず100%うまくいく、ということもないはずです。だから、これというのは全く投資と同じなわけです。もしくは恋愛とも(笑)。リスクとは本来「危険」という意味ではありません。その語源はイタリア語で「勇気を持って試みる」という意味なのです。刑事用語で「現場百回」という言葉がありますが、自分の足で動いて、自分の目で見たモノ。それが本来、投資をやる上で唯一『信用できる情報』なはずです。日本の個人投資家も雑誌や証券会社の人たちの外から入ってくるだけの情報に頼ることなく、リスクを理解した上で投資を行えるような意識をもてるそんな環境作り。それが今の投資業界には必要なことだと思います。